暗号資産の課税対象となる取引タイミング8つ

はじめに

暗号資産(仮想通貨)の取引においては、基本的に年間で20万円以上の所得(利益)が生じた場合に確定申告が必要となります。

ただし、この利益の計算は非常に煩雑になっています。

暗号資産の取引は、通常の売買のみならず、スワップやステーキングなどの様々な取引が存在しております。

実際にはどの取引を行えばどの金額の利益が生じていて、結果として納税義務が生じるのかが分かりづらいのです。

【この記事のポイント】

  • 暗号資産(仮想通貨)取引から所得(利益)が生じる取引8つを紹介
  • 暗号資産同士のスワップなど、現金化してない状態においても損益が発生することも
  • NFTを購入するだけでも納税義務が生じる可能性もある

損益が生じる仮想通貨の取引8つ

暗号資産(仮想通貨)取引において、損益が生じるタイミングは以下の8つとなります。

損益が生じる暗号資産(仮想通貨)取引

①暗号資産(仮想通貨)の売却
②暗号資産(仮想通貨)同士の交換(スワップ)
③暗号資産(仮想通貨)での物品・サービスの購入
④暗号資産(仮想通貨)の証拠金取引(仮想通貨FX)
⑤暗号資産(仮想通貨)のマイニング
⑥暗号資産(仮想通貨)のステーキング
⑦暗号資産(仮想通貨)のレンディング
⑧暗号資産(仮想通貨)のエアドロップ

暗号資産(仮想通貨)の売却

一番オーソドックスな取引になりますが、暗号資産を日本円へ売却した時点で損益が発生します。

売却時の損益の計算は、
売却時の損益=売却した価額-売却された暗号資産の取得価額
となります。

なお、売却された暗号資産の取得価額は過去から引き継ぐことになるため、例えば、5年前にビットコインを1枚50万円で購入し、今年度に1枚500万円で売却した場合は、差額である450万円を損益として認識します。

暗号資産(仮想通貨)同士の交換(スワップ)

暗号資産を他の暗号資産に交換(スワップ)した時点で損益が発生します。

例えば、BTCからETHにスワップした場合、税金の計算上は、一度ビットコインを日本円に売却し、売却した日本円でETHを購入する、という風に扱われるため、ビットコインを日本円に売却したとして損益が発生することになるのです。

暗号資産(仮想通貨)での物品・サービスの購入

物品やサービスの購入を暗号資産決済で行った場合も損益が発生します。

こちらも、②暗号資産同士の交換(スワップ)と同様に、税金の計算上では、一度暗号資産を売却し、売却した日本円で物品やサービスを購入した、とみなされるため損益が発生することとなります。

なお、これはNFTの購入でも同様に扱われるので留意が必要です。

NFTは、ETH決済で購入することが多いのですが、NFTをETH決済で購入するだけで、ETHを利確したとみなされ、ETHの売却損益が生じることとなります。

暗号資産(仮想通貨)の証拠金取引(仮想通貨FX)

暗号資産の証拠金取引、いわゆる仮想通貨FXにおいても、損益が生じることとなります。

仮想通貨FXでは、ロング(買い)やショート(売り)といったポジションで暗号資産をレバレッジを効かした上で取引をすることができます。

この、暗号資産の証拠金取引においては、決済時の損益が暗号資産取引の損益として計上されることとなります。

暗号資産(仮想通貨)のマイニング

暗号資産のマイニングにおいても、取得した時点で損益が生じることとなります。

なお、マイニングに関しては、マイニングにかかったコストを経費として計上することができます。

マイニングにより獲られたコインの価格から、マイニングにかかった経費を差し引くことで、マイニングによる所得が計算されることとなります。

暗号資産(仮想通貨)のステーキング

暗号資産のステーキングにおいても、ステーキングから獲られる報酬は、取得した時点で損益が生じることとなります。

ステーキングとは、暗号資産を保有したまま暗号資産をロック(固定)することにより、暗号資産のネットワークに貢献し、対価として暗号資産を受け取る行為を言います。

簡単に言えば、定期預金のようなものを指します。

この、ステーキングにより獲られる報酬は、取得した時点で損益として認識することとなります。

暗号資産(仮想通貨)のレンディング

暗号資産のレンディングにより獲られる利息相当額も、取得した時点で損益として認識することとなります。

レンディングとは、暗号資産を貸し出すことを言います。通常の貸付のような取引行為であり、レンディングすることで暗号資産を利息として受け取ることができます。

この、レンディングにより獲られる利息相当額(報酬)は、取得した時点で損益として認識することとなります。

暗号資産(仮想通貨)のエアドロップ

暗号資産のエアドロップにおいても、取得した時点で損益を認識することとなります。

エアドロップとは、ギブアウェイなどのキャンペーンを通じて、暗号資産を無料でもらう行為を言います。

このエアドロップにより獲得した暗号資産は、無料でもらったとしても、取得した時点で損益として認識することとなります

年度の利益を計算して確定申告へ

暗号資産の損益が生じるタイミングは上述の8つとなります。

暗号資産は損益計算を実施する必要があり、損益計算をきっちり実施し、損益が20万円を超える場合は原則として確定申告が必要になりますので、損益計算を実施して確定申告に進みましょう。

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ABOUT US
村上ゆういち魔界の税理士
公認会計士・税理士 公認会計士として大手監査法人、上場企業、会計事務所に勤務後、「村上裕一公認会計士事務所」を開業。 開業後は、暗号資産(仮想通貨)やNFT、ブロックチェーンゲームを専門とする税務を中心に活動している。 魔界(仮想通貨投資の深い部分)投資も自ら実施しており、通称「魔界の税理士」(商標登録済)