はじめに
暗号資産(仮想通貨)投資を始めたものの、相場も悪く、今年の損益は赤字になってしまった。
という声をよく聞きます。
この記事では、仮想通貨投資で赤字の場合の確定申告について、解説します
【この記事のポイント】
- 暗号資産(仮想通貨)投資で赤字の場合は確定申告は不要
- 確定申告は不要だとしても、留意するべき点がある
- 翌年度以降の損益計算のために、赤字でも損益計算がおすすめ
赤字であれば確定申告は不要
結論から言うと、仮想通貨投資で赤字の場合、確定申告は不要となります。
これは、仮想通貨投資の損益(雑所得)には以下のような特徴があるためです。
・損失が出たとしても、他の所得(給与所得や事業所得)と相殺できない(=損益通算できない)
・損失が出たとしても、他の所得(給与所得や事業所得)と相殺できない(=損益通算できない)
上のような特徴のため、仮想通貨投資にて赤字であれば確定申告は不要ということになるのです。
なお、赤字であったとしても、含み損益は対象外となります(個人で保有している場合)。
実際に売買では黒字、ただし年末時点のポジションで多額の含み損を保有しているため、トータルでは赤字となっているケースにおいては、実際には確定申告が必要となっている可能性がありますので、留意ください。
赤字であったとしても留意するべき点
ただし、仮想通貨投資に関しては、仮に赤字であったとしても以下の点に留意するべきです。
①仮想通貨投資で年間の損益が赤字の根拠となる資料を残しておく
②仮想通貨投資以外の他の雑所得もカウントする
③年末でのポジションと取得価額を整理しておく
仮想通貨投資で年間の損益が赤字の根拠となる資料を残しておく
これは、万が一の税務調査に備えるためです。
税務調査がやってきた際に、「あなたは2021年から仮想通貨投資をされていますが、2022年は仮想通貨投資の収入を記入しておりませんが、どうなっているのでしょうか?」と聞かれる可能性があるためです。
その際に、「こういう計算を実施し、年間での仮想通貨投資が赤字であったために申告はしておりません」という回答ができれば問題なく税務調査を通過することができるでしょう。(計算間違えがなければの話です)
また、税務調査は通常遅れて(最大で7年)やってきます。過去の仮想通貨投資の成績など忘れている可能性もあるため、自身のメモとしても非常に有用になります。
仮想通貨投資以外の他の雑所得もカウントする
また、仮想通貨投資は赤字であったとしても、他に雑所得があり、他の雑所得を計算するとトータルの雑所得がプラスになっている場合は、確定申告が必要になる可能性もあります。
仮想通貨投資と同じ雑所得に該当するものとしては、下記などが列挙されます
・海外取引所を利用したFX取引(※)
・本業でない執筆料や原稿料
など
(※)FXでも国内取引所での収益は雑所得の分離課税の対象です
年末でのポジションと取得価額を整理しておく
最後に、赤字であったとしても年末でのポジション(コインの種類と枚数、取得価額)を整理しておくことを推奨します。
これは、翌年度以降に利益が出た際の計算に必要なためです。
仮想通貨の損益計算においては、当年度の損益計算を実施するためには、投資開始時点からの過去の損益計算が必要になります。
最低でも、年末でのコインの種類とその取得価額(個人の場合、原則は総平均法で評価)がわかれば、良く年以降の損益計算が実施できます。
また、年末までに実施するべき事項としては、下記の記事に記載していますので、ご参照ください。
今年の仮想通貨投資は年間でトータルマイナスなのですが、確定申告は必要なのでしょうか?