スキャムコイン(詐欺コイン)を受領した場合の税金について

はじめに

スキャムコインというコインが仮想通貨界隈では有名です。

これは、詐欺コインともいわれており、以下のような性質を持っています

・勝手にウォレットに送られてくる(気付いたらウォレットの中に入っている)

・実際にスキャムコインを操作しようとするとウォレットの情報がハックされて、ウォレット内のコインを失ってしまう可能性がある

スキャムコイン(詐欺コイン)を実際に受け取った場合は、税金計算でどのように対処すればよいのでしょうか?

という質問をよく聞きます。

この記事では、スキャムコインを受け取った場合、税金計算上はどのように扱うかについて考察していきます。

【この記事のポイント】

  • スキャムコインを税金計算上どのように扱うかを解説
  • スキャムコイン受取時に所得として計上するのが原則と考えられる
  • スキャムコインの経済的価値相当をどうやって計測するかが論点

スキャムコインを受け取った場合に、所得が発生するかどうか

では、スキャムコインを受領した際に課税対象となる所得(利益)は発生するかどうかについて解説します。

結論から言うと「スキャムコインは受領時に課税対象となる所得(利益)が発生する」こととなります。

スキャムコインを受領した際の利益計上については、エアドロップ同様、国税庁のFAQに明確に記載されておりません。

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ですが、国税庁のFAQには、下記の文言が記載してあります。

(国税庁FAQより引用)

経済的価値のあるものを取得した場合には、その取得時点における時価を基にして所得金額を計算する、と明記されています。これはエアドロップ(ギブアウェイ)はもちろん、スキャムコインでも同様の扱いになります。

その結果、スキャムコインは受領した時点(勝手に送られてきて、ウォレットに入った時点)で所得(利益)を認識し、課税の義務が生じることとなります。

ただし、スキャムコインはその性質上、触ること自体が非常に危険です。ウォレットがハックされる可能性もあるので、スキャムコインを操作する際は慎重に対応しましょう。

スキャムコインに経済的価値があるか

次に、スキャムコインに経済的価値があるか、という問題が発生します。

上述の通り、スキャムコインは受け取った時点で、その経済的価値相当額を利益(所得)として計上することとなりますが、スキャムコインにどの程度の経済的価値相当額があり、それを利益として計上するべきかが問題になります。

ここについては、スキャムコインの種類ごとに判断するべき、と考えます。

スキャムコインと一言で表現はしているものの、スキャムコインには数多くの種類が存在します。また、スキャムコインの定義も明確に定まっておらず、このコインがスキャムコインになるかどうかの線引きもあいまいな面があります。

そのため、スキャムコインの種類ごとに、経済的価値があるかどうかを個別に判断していく必要があると考えます。

スキャムコインに経済的価値があるかどうかについては、以下のような情報を基に判断していくことになるかと考えています。

スキャムコインの経済的価値の判断ポイント

・客観的に交換できる価値を有しているかどうか
・そのコインに流動性があり、過去に取引ボリュームが多いかどうか

特にDEX(分散型取引所)でのみ売買されているコインは、その流動性を調整することである程度トークンの価格を操作することができ、高額な価値を付けることも可能になります。

ですが、その高額な価値のついたスキャムコインは、交換出来なかったり、取引履歴や取引ボリュームが極めて少ないケースがあります。

その場合は、経済的価値を有していないと判断することもでき、スキャムコインを獲得時に所得(利益)計上は不要と判断することもできると考えています。

困ったら専門家へ

いかがでしたでしょうか。スキャムコインの税金については以上となります。

スキャムコインは実務的に問題が非常に多いです。価格が不当に高額であったり、実際にスワップ(交換)しようとしたらウォレットがハックされるなどの問題を抱えています。

また、税金計算上も、所得としてカウントするべきではあるものの、経済的価値があるかどうかの客観的な判断が難しいです。

スキャムコインの税金計算上の扱いについては、税理士などの専門家と意見を交えつつ、個別に慎重に判断していくしかありません。

当ブログと提携している税理士でも、こういったスキャムコインに関するご相談を有料で承っているため、もしお困りであれば、こちらからお申込みいただければと思います。

ABOUT US
村上ゆういち魔界の税理士
公認会計士・税理士 公認会計士として大手監査法人、上場企業、会計事務所に勤務後、「村上裕一公認会計士事務所」を開業。 開業後は、暗号資産(仮想通貨)やNFT、ブロックチェーンゲームを専門とする税務を中心に活動している。 魔界(仮想通貨投資の深い部分)投資も自ら実施しており、通称「魔界の税理士」(商標登録済)